鍛鉄放浪記
雷鳥北アルプスを登る. 2003.7.15

2003年7月7日から5日間北アルプスの雲ノ平に行っていました。
建築家・天野さんのサポートを受け、25kgの荷物を背負って2841mの三俣蓮華岳を越え、
目的の雲ノ平の拠点となる三俣山荘に雷鳥のモニュメントを取り付けてきました。
そして色々な山にも登ってきました。

・・・山行の経緯は下記の通りです・・・
北アルプスの山々に囲まれた雲ノ平は黒部の源流で、標高は2500m。今から56年前、雲ノ平という地名はあるものの、
内部の事は誰も詳しくは知りませんでした。この広大な溶岩台地を周囲の山から眺め、
ルートを調べ探検に出かけた人がいました。
そして、岩と高山植物が織りなす大自然に魅せられ、
山と自然を愛する多くの人にこの地を見てもらいたいという一念から、ルートを開拓し、
山小屋作りを始めた伊藤さんは今年で80歳になられます。

麓から雲ノ平までの道を作るのに10年の歳月が掛かり、
山小屋建設の為に、この道を使ってボッカと呼ばれた人たちが50~60kgの建築資材を背中に山を登り、
5年間でやっと建物の80%ができ上がった時にヘリコプターでの輸送が可能になったそうですが・・・
この間のテント生活では、台風に見舞われテントが吹き飛ばされた事が何度もあったそうです。
この方の奥様から数年前、仕事の依頼を受け、電話や手紙でやり取りする内に、
山小屋を経営されておられる事、この山小屋が『三俣山荘』であることが分かりました。
定期的に届く冊子を開く度に、雲ノ平への思いが募ります。
遠くに雪が残り、高山植物の草原に火山岩と池が点在し、
雲をこの手で掴める台地に立ってみたいという気持ちが膨らんでくるのですが、
実現出来ずにいました。

自然の猛威に耐え、常に自身の的確な判断が要求される山男。
ましてや10年の歳月を費やし伊藤新道と呼ばれる道まで作った山男。
山小屋の土地代の徴収方法に対して林野庁と正面から裁判で闘っておられる山男、
物理学を志、山岳写真家でもある『伊藤さん』ご自身にも会ってみたいと言う気持ちも日ごとに増してきた、
そんな時、松本市美術館で開かれる伊藤さんの『黒部源流』写真展の案内が届き、行って来ました。
写真を自らご説明下さった一見細身の長身男性は、80歳にはまったく見えません。
ひとつの事を成し遂げた人が誰でもそうであるように、とても優しい目をされています。
この夏、登山家友人のサポートを受け、雲の平に行く事にしました。
ヘリコプター輸送ではなく、鍛鉄の雷鳥の看板を背負って片道2日の行程を歩きます。
看板は伊藤さんを尊敬する気持ちと感謝の意思表示です。
